日本の人口の歴史をたどると、考古学的な遺跡数や出土品をもとに推定が行われています。
特に人口統計の専門家・鬼頭宏氏は、小山修三氏の研究に依拠し、旧石器時代から縄文時代、弥生時代にかけての人口を算出しました。
日本の人口統計学の歴史 ― 江戸時代までの人口調査
人口統計学とは、人々の数の変化やその歴史的推移を明らかにする学問です。
近代的な国勢調査が始まる以前の社会、つまり中世から近世にかけての人口動向も研究対象になります。
歴史人口学とは ― 人口史研究を変えた新しい学問
歴史人口学は、戦後に登場した新しい学問分野で、人口史の研究に大きな変化をもたらしました。
フランスの人口学者ルイ・アンリが、キリスト教会に残された洗礼・結婚・埋葬の記録を用いて前近代社会の人口を推計したことが出発点です。
この研究はフランスやイギリスで確立し、世界中の歴史学者・人口学者に衝撃を与えました。
日本の歴史人口学における最大の資料が、宗門改帳です。
戸籍取得の範囲と家系図作成のポイント
戸籍法第10条1項には、「戸籍に記載されている本人、またはその配偶者・直系尊属・直系卑属は、その戸籍の謄本や証明の交付請求ができる」と定められています。
つまり、自分の直系の先祖(父母・祖父母など)の戸籍は請求できますが、配偶者のご先祖の戸籍までは請求できないということになります。
世界の老舗企業と日本:データで見る“長く続く”ちから
「老舗(しにせ)」は日本だけの現象ではありませんが、数字で見ると日本は突出しています。2008年に韓国銀行が41か国を対象に調べたところ、創業200年以上の企業は世界で5,586社。そのうち日本が3,146社(56%)で最多、次いでドイツ837社、オランダ222社、フランス196社でした。さらに100年以上の企業の89%は従業員300人未満の中小企業です。
京都の老舗に学ぶ、永続の秘訣と家訓
京都府は、100年以上続く「老舗」の企業や家を調査し、そこに受け継がれてきた家訓や経営理念を編纂しました。
そこには、先人たちが長きにわたり家業を守り抜いてきた知恵が記されています。
三代続く家は栄える?それとも潰れる?
古くから「三代続けば家は栄える」とも「三代目で潰れる」とも言われます。
どちらも一面の真実を含んでおり、実際には「三代続く」こと自体が容易ではありません。
ここでいう「続く」とは、単に家や事業を継ぐということではなく、しっかりと繁栄していることを意味します。
そして、その繁栄を一時たりとも途切れさせずに守り抜くことこそが、最も難しいのです。
江戸時代の武士と「二つの名前」
江戸時代の武士には、通常二つの名前がありました。
「通称」と「実名」です。
例えば西郷隆盛、通称は「吉之助」、実名は「隆永」。現在は「隆盛」の名で知られていますが、実はこれは父親の実名であり、西郷本人のものではありません。
家紋・日本人のルーツ・江戸時代の暮らし ― 家系調査を深めるための学び
ご先祖を調べる過程では、戸籍や土地記録といった一次資料だけでなく、文化や歴史の知識を学ぶことも大切です。
家紋や氏族のルーツ、そして江戸時代の人々の暮らしを知ることで、調査はより奥行きのあるものになります。
村方文書・新聞・調査演習 ― 実践的に深めるご先祖調査
戸籍や土地台帳などの基本資料に加えて、さらにご先祖の足跡を探る手がかりは数多く存在します。
ここでは、江戸時代の村方文書・明治以降の新聞・調査演習を通じた実践的な調査法をご紹介します。
17. 村方文書を探す
村方(地方)文書とは、江戸時代に村ごとに作成された記録の総称です。
そこには村人の名前や生活の様子が具体的に残されています。代表的なものは以下の通りです。
宗門改帳・人別帳(江戸時代の戸籍に相当)
検地帳・名寄帳(土地や年貢に関する帳簿)
五人組帳(地域の行政記録)
これらは郷土誌(都道府県市町村史)に収録されているほか、全国の公文書館でも所蔵されています。
近年ではオンライン検索でもヒットすることがあり、「宗門改帳」「人別帳」などのキーワードで検索すると、関連情報を見つけられる場合があります。
18. 新聞を調べる
明治以降の家系調査では、新聞記事が大変役立ちます。
読売新聞・朝日新聞・毎日新聞など、大手紙は創刊号から記事検索が可能
地方紙では地域の小さな出来事が掲載されるため、ご先祖の名前が登場する確率が高い
記事だけでなく、葬儀広告や人事欄にもご先祖の記録が残っていることがあります。
新聞を活用することで、生活の一端や社会的な立場が具体的に見えてきます。
19. 『姓氏家系大辞典』を読む
226事件が起きた昭和11年(1963)に刊行された専修大学教授太田亮博士の『姓氏家系大辞典』には、約5万姓のルーツについて詳細な解説がされています。
現代の苗字やルーツ関連本でこの辞典の影響を受けていないものはないといわれるほどの名著ではありますが、旧かなづかい、旧漢字で書かれ、
引用文献の書名は短縮され、頻出する歴史用語にはまったく説明がありません。
そのため自分の苗字の部分を見たが、書いてある内容がわからないという声があとを絶ちません。