日本の人口の歴史をたどると、考古学的な遺跡数や出土品をもとに推定が行われています。
特に人口統計の専門家・鬼頭宏氏は、小山修三氏の研究に依拠し、旧石器時代から縄文時代、弥生時代にかけての人口を算出しました。
『全国遺跡地図』に記載された都道府県別の遺跡数を時代ごとに振り分け、さらに遺跡あたりの収容人口を算出することで、時代別の人口を推定しています。
縄文時代中期以降:遺跡あたりの収容人口は弥生時代の約1/3
縄文時代中期以前:さらに小規模で、弥生時代の1/7程度
縄文時代早期:遺跡規模は弥生時代の1/10程度
こうした係数をもとに、縄文・弥生時代の推定人口が導き出されています。
縄文時代早期:約2万人
縄文時代前期:約10万5千人
縄文時代中期:約26万人
縄文時代後期:約16万人
縄文時代晩期:約7万6千人
弥生時代:約59万人
特に縄文中期は人口が最も多く、豊かな自然環境と定住生活の発展が背景にあったと考えられます。
しかし晩期になると人口は大きく減少し、その後の弥生時代には農耕の普及によって再び人口が増加していきました。
旧石器時代の遺跡数は、縄文時代早期の2530箇所に比べると非常に少なく、ナイフ型石器期で317箇所、細石器期で125箇所、古先土器期で28箇所しか確認されていません。
小山修三氏(1989年)の推定によると、ナイフ型石器期(縄文早期の10倍の期間が続いた時代)の人口は約2600人(2000~3000人程度)とされています。
こうした推定からわかるのは、日本列島における人口は旧石器時代には数千人規模にとどまっていたものが、縄文時代には十万単位に増え、弥生時代には数十万規模へと拡大していったということです。
遺跡の数や出土品を手がかりに、当時の人々の暮らしや社会の姿を浮かび上がらせる人口推定は、日本の歴史を知るうえで大変興味深い手法といえるでしょう。
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