古くから「三代続けば家は栄える」とも「三代目で潰れる」とも言われます。
どちらも一面の真実を含んでおり、実際には「三代続く」こと自体が容易ではありません。
ここでいう「続く」とは、単に家や事業を継ぐということではなく、しっかりと繁栄していることを意味します。
そして、その繁栄を一時たりとも途切れさせずに守り抜くことこそが、最も難しいのです。
江戸時代の武士と「二つの名前」
江戸時代の武士には、通常二つの名前がありました。
「通称」と「実名」です。
例えば西郷隆盛、通称は「吉之助」、実名は「隆永」。現在は「隆盛」の名で知られていますが、実はこれは父親の実名であり、西郷本人のものではありません。
家紋・日本人のルーツ・江戸時代の暮らし ― 家系調査を深めるための学び
ご先祖を調べる過程では、戸籍や土地記録といった一次資料だけでなく、文化や歴史の知識を学ぶことも大切です。
家紋や氏族のルーツ、そして江戸時代の人々の暮らしを知ることで、調査はより奥行きのあるものになります。
村方文書・新聞・調査演習 ― 実践的に深めるご先祖調査
戸籍や土地台帳などの基本資料に加えて、さらにご先祖の足跡を探る手がかりは数多く存在します。
ここでは、江戸時代の村方文書・明治以降の新聞・調査演習を通じた実践的な調査法をご紹介します。
17. 村方文書を探す
村方(地方)文書とは、江戸時代に村ごとに作成された記録の総称です。
そこには村人の名前や生活の様子が具体的に残されています。代表的なものは以下の通りです。
宗門改帳・人別帳(江戸時代の戸籍に相当)
検地帳・名寄帳(土地や年貢に関する帳簿)
五人組帳(地域の行政記録)
これらは郷土誌(都道府県市町村史)に収録されているほか、全国の公文書館でも所蔵されています。
近年ではオンライン検索でもヒットすることがあり、「宗門改帳」「人別帳」などのキーワードで検索すると、関連情報を見つけられる場合があります。
18. 新聞を調べる
明治以降の家系調査では、新聞記事が大変役立ちます。
読売新聞・朝日新聞・毎日新聞など、大手紙は創刊号から記事検索が可能
地方紙では地域の小さな出来事が掲載されるため、ご先祖の名前が登場する確率が高い
記事だけでなく、葬儀広告や人事欄にもご先祖の記録が残っていることがあります。
新聞を活用することで、生活の一端や社会的な立場が具体的に見えてきます。
19. 『姓氏家系大辞典』を読む
226事件が起きた昭和11年(1963)に刊行された専修大学教授太田亮博士の『姓氏家系大辞典』には、約5万姓のルーツについて詳細な解説がされています。
現代の苗字やルーツ関連本でこの辞典の影響を受けていないものはないといわれるほどの名著ではありますが、旧かなづかい、旧漢字で書かれ、
引用文献の書名は短縮され、頻出する歴史用語にはまったく説明がありません。
そのため自分の苗字の部分を見たが、書いてある内容がわからないという声があとを絶ちません。