三代続く家は栄える?それとも潰れる?

古くから「三代続けば家は栄える」とも「三代目で潰れる」とも言われます。
どちらも一面の真実を含んでおり、実際には「三代続く」こと自体が容易ではありません。
ここでいう「続く」とは、単に家や事業を継ぐということではなく、しっかりと繁栄していることを意味します。
そして、その繁栄を一時たりとも途切れさせずに守り抜くことこそが、最も難しいのです。

創業者と二代目の歩み
創業者には「親が破産したので自分はゼロから始めた」「親の借金を支えながら裸一貫で挑戦した」といった人が少なくありません。
そのような人たちは、逆境をバネにしながら必死に努力を重ねました。

また、そうした創業者の多くは「親が信念を与えてくれた」と感謝の気持ちを抱いており、決して家を潰した親を恨むことはありません。
むしろ、その苦労を見て育った二代目は「自分も頑張らなければ」と奮起し、力強く事業を支えていくのです。

三代目に訪れる落とし穴
ところが三代目になると、家庭や事業がすでに豊かになっているため、どうしても苦労知らずに育つ傾向が強くなります。
その豊かさが創業者や二代目の血のにじむ努力の賜物であることに気づかず、感謝の念が薄れてしまうのです。
その結果、努力を怠り「繁栄は自分の実力」と誤解してしまうと、徐々に組織や家の精神は骨抜きとなります。
他者の意見を聞かず、不都合なことを避け、自分に都合の良いことだけを受け入れるようになると、衰退から破綻への道を歩むことになります。

継承者にとって最も大切なこと
家を守る生計者や事業の後継者にとって最も大切なのは、今ある幸せや繁栄の陰に、先祖のどれほどの苦労や努力があったかを正しく理解することです。
その歴史を調べ、知り、感謝すること。そこにこそ三代目の落とし穴を防ぎ、次世代へと繁栄をつなげていく秘訣があります。