過去帳・除籍からたどる先祖探し|没年月日やお墓の調べ方

「過去帳と除籍、没年月日が違うのはなぜ?先祖のお墓がわからないときはどう探せばいい?
そんな疑問にお答えしながら、正しい調査のコツをご紹介します!」

Q  お寺の過去帳の没年月日と除籍の没年月日が違います。どちらが正しいですか?

A 没年月日が異なるのは、旧暦と新暦の違いだと思われます。我が国では明治5(1872)年12月3日から新暦に改暦し、この日は新暦の明治6年1月1日になりました。以後、公的には新暦が使用されることになりましたが、仏教の世界では旧暦を使い続けたケースが報告されており、お寺によっては明治末年まで過去帳には旧暦を使っていたところもありました。通常、新暦以降に旧暦を書く時には旧〇月〇日と書きましたが、旧が省略されている場合もあり、そのときは新暦との区別がつかないため、除籍(新暦)との間で没年月日が異なるという現象が生じました。旧暦と新暦のズレは一か月ほどで、除籍の没年月日が過去帳よりも1か月ほど後の場合は、このズレが原因です。

Q  過去帳に五十三年とあったので、系図には享年53歳と書きました。正しいですか?
A 過去帳や古い位牌を見ると、戒名、没年月日、俗名、続柄(誰の男何など)のほかに五十三年のような記載がたまにあります。
これは享年と考えられます。享年とは数え年で年齢を表記するもので、享年五十三と書き、才(歳)はつけません。
現在の系図では、満年齢を享年五十三才などと書いているものがありますが、これは二重の誤りをおかしていることになります。

享年と似たものに行年があり、行年は満年齢で使われるものとされていますが、現在では数え年齢、満年齢、どちらでも区別なく使用され、年の後に才(歳)を付けます。行年五十三才(歳)と表記するのです。才と歳はどちらを使用しても良いですが、墓石に彫るときには画数を減らすために才を使うのが一般的です。なお、過去帳や位牌の没年齢は長寿をことほぐ習慣に基づいて、実年齢よりも何歳か年上に書かれることがありました。そのため没年齢から生年を逆算するときは注意が必要です。

Q  先祖の墓がどこにあるのか分かりません。調べることはできますか?

A  現在の墓所や菩提寺にご先祖の戒名、お墓がない場合、除籍で判明した死亡場所の近くにあるお寺に葬られているかも知れません。とくに家の宗派と同じお寺があれば、そこにまずは問い合わせてみましょう。北海道で亡くなった場合は、出稼ぎ感覚で渡って来た人もいたため、本州時代の菩提寺に葬られていることもあります。