武士だったのかどうかを見極める2つのポイント

先祖が武士だったのか、それとも庶民だったのかを見極めるには、大きく分けて 「住んでいた場所」と「名前」 の2つが重要です。

1. 住んでいた場所から探る
まずは、先祖が暮らしていた地域を調べます。
 城下町 … 武士階級が多く住んでいた地域
 半農半武の地域 … 武士と庶民が混在して暮らしていた地域
 農村・漁村 … 主に農民や漁民が暮らす地域

この地域性を知ることで、先祖の身分を推測しやすくなります。地名や古地図、土地の歴史を調べることが手がかりになります。

2. 名前から探る
江戸時代には、武士の名前・官吏の名前・僧侶の名前 が明確に区別されていました。
当時、庶民は武士らしい名前をつけることができなかったため、名前の響きや構成から身分を推測できる場合があります。

例えば「与作」という名前は、武士らしい名乗りとは少し異なります。このように名前からもヒントを得られます。

当時の人口構成
明治5年(1872年)の人口統計では、
 平民(農民・職人・庶民) … 約3,083万人(93%)
 士族(旧幕臣・藩士など) … 約194万人(6%)
 皇族・官吏・僧侶など … 約2,666人(1%)

また、1873年の職業別統計では、人口の約79%が農業、6.6%が商業、3.5%が職人で、その他は雑業とされていました。

この割合からも、当時武士階級に属していた人はごく少数であったことが分かります。

武士の名簿「分限帳」
江戸時代(1603~1867年)には、全国300以上の藩で藩士の名簿を作成していました。
代表的な記録には、

 分限帳
 士族明細帳
 禄高帳

などがあります。これらには、藩士の氏名、役職、禄高、年齢、家紋、居住地などが記されていました。
中には城下町の地図や墓地の位置が分かる資料もあります。

調べるなら地元の資料館へ
これらの史料の多くは、地元の図書館・公文書館・博物館に保存されています。
丹念に調べることで、先祖の身分や暮らしぶりをより具体的に知ることができます。