大正4年式戸籍の特徴 ~現代戸籍につながる、大きな転換点~

大正4年(1915)、日本の戸籍制度は再び大きな改正を迎え、「大正4年式戸籍」が導入されました。
この様式は昭和23年(1948)の新戸籍法が施行されるまで、約30年にわたり使われ続けました。
以下では、大正改正のポイントを分かりやすく解説します。

・族称の記載が一部除外に
それまでの戸籍には「華族・士族・平民」といった身分(族称)が明記されていましたが、大正4年式では平民の族称記載が省略され、華族と士族のみ記載されることになりました。
さらに昭和18年(1943)には族称そのものの記載が完全に廃止され、**現在、戸籍の写しを交付する際には、過去の族称欄も黒く塗りつぶす(塗抹処理)**のが通例です。

・「寄留法」の独立
大正3年(1914)に、それまで戸籍法の一部だった寄留制度が分離され、**単独の法律(寄留法)**として制定されました。
これにより、居住地の登録と本籍地管理の区分が明確になります。

・旧戸籍の併用と改製
明治31年式戸籍は、大正4年式の施行後もしばらく使われていました。
昭和23年の新しい戸籍法(現行法)が施行されたあと、明治31年式と大正4年式の戸籍は、10年ほどかけて順次「昭和23年式戸籍」に改製されていきました。

・なぜ大正4年式戸籍が重要なのか?
この戸籍は、日本の近代化が進み、華族制度や旧身分制度の整理が進んだ時代の記録として非常に貴重です。
また、明治の戸籍に比べて筆跡が整っていて読みやすいことが多く、家系調査ではよく使われる基礎資料のひとつです。