戸籍は日本人の身分関係を記録する大切な公的書類ですが、その記載内容は時代によって大きく変化してきました。特に、昭和30年(1955年)の戸籍法改正は、家族の範囲や記載方法に大きな影響を与えています。
改正前の戸籍 ― 広がりのある「家単位」
1955年以前の戸籍には、現在では考えられないほど多くの親族が記載されていました。
そこには以下のような人々が一冊にまとまって載っていたのです。
直系の祖父母
兄弟姉妹やその配偶者
兄弟姉妹の子ども(甥・姪)
孫
つまり、いわゆる「家」を中心とした広い親族関係を一つの戸籍で把握できたわけです。
現在の戸籍 ― 核家族的な「家族単位」
一方で、現在の戸籍には本人と配偶者、そしてその子どもだけが記載されています。
これは「三代戸籍禁止の原則」と呼ばれるルールが定められたためで、親子二代までしか戸籍に載せられなくなったのです。
結果として、現在の戸籍は「核家族」的な狭い単位で構成され、かつてのように祖父母や兄弟姉妹まで一目で分かる記録ではなくなりました。
まとめ ― 戸籍が語る家族のかたちの変化
昭和30年以前の戸籍:祖父母から孫まで含む「家」を中心とした記録
現在の戸籍:夫婦と子どもだけの「家族単位」の記録
この違いを知ることで、古い戸籍を読み解く際には「誰がどの世代に属しているか」を理解しやすくなります。また、現代の戸籍では分からない広がりのある親族関係を、古い戸籍からはたどることができるのです。
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