戸籍や除籍、旧土地台帳に加えて、さらにご先祖の暮らしや背景を知る手がかりとなる資料があります。
ここでは 人事記録・引揚者給付金記録・同姓分布調査 についてご紹介します。
7. 人事記録の取得
ご先祖が公務員だった場合、その勤務先に人事記録が残されている可能性があります。
中央省庁勤務:情報公開法に基づいて申請
地方自治体勤務:各自治体の情報公開条例に基づいて申請
申請は郵送のほか、オンライン申請も可能です。個人情報の扱いは厳格ですが、故人であれば職歴が開示されることが一般的です。
特に申請者が直系の子孫であれば、記録が現存している限り開示されやすいでしょう。
ただし、公文書館に移管された資料については情報公開法の対象外となるため、各公文書館のガイドラインに従い、**レファレンス(照会・問い合わせ)**を行う必要があります。
また、ご先祖が民間企業に勤めていた場合は、戦前の「商工紳士録」などから会社を調べ、会社が存続していれば照会依頼をすることも可能です。
8. 引揚者給付金・特別交付金記録の照会
終戦の昭和20年(1945年)、外地(樺太・朝鮮・満州・台湾・中国・南洋など)にいた方の多くは、戦後に引揚者給付金や特別交付金を受給しました。
これらの記録を照会することで、以下のような情報を得られる可能性があります。
引揚前の住所
職業
内地時代の本籍地
引揚船の名前
乗船した家族の氏名
さらに、国立公文書館が所蔵する**「引揚者在外事実調査票」**も有益です。
外地での生活状況やご先祖の足跡を知る貴重な資料となります。
9. 同姓分布の確認とアンケート調査
家系調査の一環として、同姓の分布調査を行う方法もあります。
電子電話帳ソフト「写録宝夢巣(シャーロックホームズ、日本ソフト販売)」を利用して、同姓の住所や氏名を把握する
紙の全国電話帳を図書館で閲覧する
ゼンリンの住宅地図で地域ごとの居住状況を確認する
得られた情報をもとに、家紋・菩提寺・墓地・家系図の有無・本家名・屋号・言い伝えなどの提供をお願いするお手紙を送ります。
ただし、同姓アンケートの返信率は高くありません。
個人情報保護や警戒心から、差出人の身元が不明瞭な場合は特に情報が得られにくいのです。
そこで次のような工夫をすることで、返信が得られる確率が高まります。
手紙はワープロよりも手書きで(必要部数はコピー可)
宛名は必ず手書きにする
免許証などの公的書類の写しを添える
家族写真を同封する
こうした工夫をすることで、受け取った相手に信頼感を与え、調査の協力を得やすくなります。
投稿者プロフィール

-
5代目製本業経営者。体を動かす事が趣味でジムに週5回通ってます。
詳しいプロフィールはこちら
最新の投稿
- 2025.09.04最近の5代目三代続く家は栄える?それとも潰れる?
- 2025.09.03最近の5代目江戸時代の武士と「二つの名前」
- 2025.09.02最近の5代目家紋・日本人のルーツ・江戸時代の暮らし ― 家系調査を深めるための学び
- 2025.09.01最近の5代目村方文書・新聞・調査演習 ― 実践的に深めるご先祖調査