古い戸籍に出てくる用語や空欄の意味を解説

家系図作成や先祖調査をしていると、古い除籍や戸籍に普段あまり見ない言葉や空欄が出てきて「これってどういう意味?」と疑問に思うことがあります。今回はよくある3つの質問にお答えします。

1. 「養嗣子」と「養子」は違うの?
古い戸籍を見ていると「養嗣子(ようしし)」という言葉が登場します。
現代ではあまり耳にしないかもしれませんが、これは 家督を相続するためにもらわれてきた養子 のことを指します。

養嗣子は養家にとってとても重要な存在で、多くの場合、養家の実の娘と婚姻し、家督を継ぐ役割を担いました。
一方で、単に「養子」「養女」と書かれている場合は、必ずしも家督相続が目的ではない養い子を意味します。

2. 母親欄が空欄なのは「母親不明」ということ?
古い戸籍には、子どもの母親の欄が空欄になっていることがあります。
しかし、これは母親が不明という意味ではありません。

明治時代の戸籍制度の変遷が理由です:
明治5(1872)年式戸籍、明治19(1886)年式戸籍 → 母親を記載する欄がなかった
明治31(1898)年式戸籍 → 初めて母親の記載欄が設けられた

そのため、明治31年以降に作られた戸籍で母親欄が空欄になっている場合は、多くの場合 母親がすでに亡くなっていたためで、母親が不明だったという例はほとんどありません。

3. 長男、三男、五男、二女がいるのに、二男や四男がいないのはなぜ?
兄弟姉妹の番号に抜けがあると「不自然」と感じるかもしれません。
これは 戸籍の書き換え が行われるたびに、一部の兄弟姉妹が新しい戸籍に引き継がれなかったことが原因です。

戸籍は以下のようなタイミングで新しいものに書き換えられます:

家督相続で戸主が変わったとき
転籍したとき
戸籍法改正で新しい書式が公布されたとき

この際、すでに死亡した人、他家に養子や養女に行った人、嫁いだ人などは 除籍扱い となり、次の戸籍に記載されません。そのため、たとえば二男や四男、長女が見当たらないのは、彼らが別の戸籍に移ったためです。

もし彼らの記録を知りたい場合は、さらに古い除籍簿 をさかのぼって確認する必要があります。

古い戸籍には、当時の法律や家制度の仕組みが色濃く反映されています。
こうした背景を知ることで、先祖の記録をより深く理解できるでしょう。