家系をたどるうえで、最も基本的でありながら最も奥深いのが「名前」の調査です。
名前には、その人の生きた時代や家の伝統、親子のつながりが色濃く反映されています。
今回は、家系調査の出発点とも言える「人名」、とくに通称(かな)と実名、
そして代々受け継がれる「通し文字(通字・伝字)」の意味と役割についてご紹介します。
■祖先を探る上で必要な「人名」
古文書や墓石などを読み解く際、「人名」が記載されていますが、
実は以下のようにたくさん種類があります。
・童名
・幼名
・実名
・仮名
・字(あざな)
・号
時代的にもいろいろ変化あるものなのだが、先祖調査で実名と仮名が重要である。
実名はその人ずばりの名前である。
仮名は一般に通称と呼ばれ、近世まで「諱(いみな)」と呼ばれる本名の公言を避ける習慣があった。
そのため、人を呼ぶ時は「仮名」「字」などの通称、官職名を用いるのが一般的だった。
今日でも「総理」「大臣」「社長」「専務」などと呼びかけに使うのがこれにあたる。
けれど近世一般庶民にはこの通称のほかに実名(名乗)を持たなかったのであるから、これが結局本名となっていた。
近世一般には仮名は家をつぐまで、何太郎、何次郎、何三郎と称し、家を継ぐと
何右衛門、何左衛門、何兵衛などというのが普通で、武士階級では他にいろいろな官名を称すことになっている。
■ 名前に込められた“つながり”──通し文字・通字の意味
平安時代末期から鎌倉時代以降、「親の名前の一字を子に継がせる」という風習が次第に定着していきました。これを**通し文字(通字・伝字)**と呼びます。
源為義の子が、義朝、為朝というのは父の名を一字ずつ伝えたものである。
他に有名な例としては、
平家:**「盛」**の字を通す(清盛・資盛・経盛など)
北条氏:**「時」**の字を通す(時政・時頼・時宗など)
こうした通字の存在は、古文書や墓石に記された人物の関係性を推測するうえで、大きなヒントになります。
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