「先祖が戦時中、外地で暮らしていた」「終戦を樺太や満州、台湾で迎えたと聞いている」
そんな方にとって、家系図作成の出発点となる資料の入手は、特に難しく感じるかもしれません。
ここでは、樺太・外地終戦者の家系調査方法について、現在利用できる資料やその取得方法をわかりやすくご紹介します。
❓Q:先祖は樺太で終戦を迎えました。除籍は取得できますか?
✅ A:ごく一部の地域に限り、取得可能です。
樺太の除籍は大泊郡知床村のものなど、 6か村が終戦時に持ち帰られ、現在は外務省外務省アジア大洋州局地域政策参事官室外地整理班に保管されています。
これは通常の除籍とほぼ同じ手続きで取得することができます。ただし数が少ないため、該当者は少ないでしょう。
そのほかの人は除籍ではなく、次項の「引揚者在外事実調査票」を閲覧することをお勧めします。
また、全国樺太連盟などに問い合わせたり、樺太の紳士録を調べたり、引揚者給付金の申請記録などを確認するなどして、樺太時代の情報を集めることもできます。
さらに樺太では、火災保険特殊地図(火保図)という保険会社が使用した現在の住宅地図も作製されました。
これは『戦前期樺太火災保険特殊地図集成』として刊行されていますので、そこからご先祖の住んでいた家を特定することもできることがあります。
❓Q:先祖は外地(満州・台湾など)で終戦を迎えました。除籍は取れますか?
✅ A:除籍の取得は難しいですが、代替となる調査票があります。
除籍に代わる情報源として昭和 31(1956)年に厚生省が引揚者を対象に行った悉皆調査があります。「引揚者在外事実調査票」です。
これは昭和 20(1945)年 8 月 9 日の時点で、外地(北鮮、南鮮、台湾、樺太・千島、満州、関東州 )に住んでいた世帯に対して、直接調査票への記入を求めたものです。
調査票には以下の項目がありました。世帯代表者氏名、終戦時の世帯主との続柄、終戦時の住所、現住所、本籍、引揚後最初の住所、現 在の職業及び勤務先、勤務先の名称、在外地域(選択)、在外年数 、世帯員の状況そのⅠ(生存) 氏名、続柄、性別、生年月日(年令)、外地渡航年月、引揚出港地、船名、上陸地、引 揚(上陸)年月日、生活保護の有無、現住地都道府県 • 世帯員の状況そのⅡ(死亡) 氏名、世帯主との続柄、性別、死亡時の年令、死亡年月日、死亡場所 • 在外中の世帯主の(最長期)職業状況:職業、勤務先、期間 、終戦時:職業、勤務先、期間 • 恩給受給状況: 受給者、種類、年額 • 備考など、大変に詳細な内容になっています。
この調査票は平成 23(2011)年までは戦没者等援護関係資料の一つとして、厚生労働省で使用、保存されていましたが、現在は国立公文書館へ移管されました。
つくば分館に保管されていますので、そちらへ行けば閲覧できますが、東京の国立公文書館本館で閲覧する場合は一週間前までに閲覧箇所を申し出て、分館から取り寄せてもらう必要があります。内容は一部非公開の部分もありますが、誰でも閲覧できます。
また樺太と台湾では火災保険特殊地図という住宅地図が作製されました。それは『戦前期樺太火災保険特殊地図集成』『戦前期台湾火災保険特殊地図集成』(全2冊)として刊行されていますので、ご覧になることをお勧めします。
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5代目製本業経営者。体を動かす事が趣味でジムに週5回通ってます。
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