京都府は、100年以上続く「老舗」の企業や家を調査し、そこに受け継がれてきた家訓や経営理念を編纂しました。
そこには、先人たちが長きにわたり家業を守り抜いてきた知恵が記されています。
その研究をもとに、同志社大学の足立教授は「老舗の永続要因」を十項目に整理しました。
家名継承、祖先崇拝と信仰、行動、孝養、正直、誠実、勤勉、思想教育、倹約、尊法、陰徳、和合、禅則
この中でも最も重視されているのは 「家名を継承すること」、そして「祖先を敬い祀ること」「親孝行を実践すること」が続きます。
要するに、長寿企業や老舗に共通する根本は、
家を継ぐこと
先祖を祀ること
親孝行をすること
の三つだといえるのです。
日本には200年以上続く企業が約3,000社、500年以上続く企業が124社、さらに1,000年以上続いている企業が19社も存在します。
これは世界的にも群を抜く数字です。
その背景には、家業を「自分のもの」ではなく「先祖から預かっているもの」と考える価値観があります。
家業を守り、発展させることは先祖への奉公であり、子孫への責任でもあるのです。
興味深いことに、古い家訓には妻の心得も記されています。その冒頭に「家と相続を第一に考え、身持ちを固くすること」とあり、夫婦が共に家と家業を守る姿勢が強調されています。
老舗が長く続いてきた背景には、夫婦の協力と支え合いがあったことがうかがえます。
現代社会では「変化への対応」が強調されますが、老舗の家訓が教えるのは「不変の原理」です。
家名を大切にし、祖先を敬い、親孝行を忘れない。
この三つを実行することが、長く続く土台をつくるのです。
会社経営や家族の在り方を考えるうえで、こうした古来からの知恵は今なお有効な指針となるでしょう。
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5代目製本業経営者。体を動かす事が趣味でジムに週5回通ってます。
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