苗字のルーツはどこから?「33のタイプ」で自分の苗字を知る

私たちが普段使っている苗字には、どんな由来があるのでしょうか?
実は、日本の苗字は**大きく33のタイプ(型)**に分類することができるのです。

この分類法は、日本の苗字研究の第一人者・丹羽基二先生が提唱されたもので、今なお多くの研究者や家系調査の現場で活用されています。
今回は、その分類法をベースに、現代にも通用する形で一部補足を加えてご紹介します。

●主な苗字のタイプ一覧(33種+1)
地名型 同一の地名から発祥したもの。苗字全体の80%以上を占めます。
氏型 古代の氏(うじ)に由来しているもの。蘇我・物部・藤原・菅原など。
物象型 動植物や器物、建造物などに由来する物象的な苗字です。机・辻堂など。
職名型 職業・役職・官職などに由来するもの。目(さっか)・大工など。
名前型 通称、実名など名前に由来する苗字です。源内・為貞など。
略姓型 本来の名字を省略したもの。宗(本来は惟宗)・小笠(小笠原)など。
当て字型 当て字を用いた苗字。池鯉鮒(ちりふ。本来は知立)など。
佳字型 佳字(かじ)、美称、瑞祥文字で飾った苗字。久保(窪)など。
転字型 文字の変化(転字)、読みの変化(転音)、連濁。綿谷(綿屋の転字)。
消失型 現在は消滅してしまっているもの。かつては存在していたもの。
信仰型 信仰などに関係がある苗字。星(星信仰にちなむ)・月(月信仰)など。
古姓型 古代姓氏と関係が深いもの。2氏型と要区別。武内(武内宿禰)など。
外来型 外国渡来、あるいは外国とゆかりが深い苗字。高麗(こま)・秦など。
沖縄型 沖縄・奄美地方に関係の深い苗字。具志堅・渡嘉敷・恵・元など。
賜姓型 天皇や殿様から下賜された苗字。薬袋(みない。武田信玄から)など。
合字型 二字が合わさって一字になった苗字。粂(久米)・小柴(小此木)など。
商業型 商業に関係する苗字。屋号由来が多い。魚屋・糸谷(糸屋の転字)など。
皇族型 皇室、宮家、皇族に関係する苗字。有栖川・大后(おおきさい)など。
人名型 一般的な人名呼称に由来する苗字。奴(やっこ)・早乙女(さおとめ)。
アイヌ型 アイヌ民族、またはアイヌ語に由来している苗字。小比類巻など。
公家型 公家、または公家の称号に由来している名字。近衛・九条・公卿など。
複姓型 二つの名字が合一した姓氏。竹田河辺・疋田斎藤など。
部民型 古代の職業部、名代部、子代部など部民(べみん)に由来する苗字。
カバネ型 古代のカバネ(姓)に関係しているもの。村主・連(むらじ)など。
蝦夷型 蝦夷と関係の深い苗字。蝦夷(えぞ)・夷俘(えみし)など。
仏教型 仏教に関係が深い苗字。僧侶の明治新姓。釈(しゃく)など。
神道型 神社や神道とゆかりが深い苗字。神(みわ)・三輪(みわ)など。
事象型 事柄、出来事、いわくなどから起こった苗字。栗花落(つゆり)など。
芸名型 雅号、芸名、筆名、別称に由来する苗字。体阿弥・幸若など。
敬称型 敬称に由来する苗字。王(おう)・殿(どの)・卿(きょう)など。
屋号型 屋号に由来する苗字。17商業型と要区別。角谷(角屋の転字)など。
族名型 古代の種族名などに由来する苗字。隼人(はやと)など。
未詳型 由来が不明の苗字。

番外編:藤姓型も注目!
この33型にもう1つ加えるとすれば、「藤姓型」が挙げられます。
これは、藤原氏の流れを汲む「〇藤」姓で、佐藤・加藤・伊藤・斎藤・後藤・近藤など、日本の苗字ランキングでも常に上位に入る有名な姓が多数含まれます。

その存在感は圧倒的で、これらだけを一つの「型」として扱ってもよいほどです。

あなたの苗字がどの由来にあたるのか、ぜひこの33+1型に照らし合わせてみてください。
そして、たとえば「地名型だけど職名型の要素もある」など、複数の要素が重なっている重複型の苗字も多くあります。
苗字の背景をたどっていくことで、ご先祖の歩みや土地とのつながりが見えてくるかもしれません。