「武士」と聞くと、どこか特別な階級、気高き戦士のイメージが思い浮かぶかもしれません。しかし、武士の起源をたどってみると、意外にもその出自は農民と密接に関わっていました。
武士とは何か。なぜ武士が生まれ、どのように発展していったのか。そして、「家紋」や「門」といった象徴がどう定着していったのか。
今回は、武士の成立と百姓との関係、そして武家文化の象徴である「門(家紋)」の成り立ちをひも解いてみましょう。
■ 家紋と門のはじまり
現在、武家といえば家紋がついた衣服や旗指物が象徴的ですが、実は家紋を衣服につけるようになったのは比較的後世のことです。
武家の「家紋」は、元々は戦場での目印、すなわち旗や幕に用いられたことが始まりと考えられています。
「家紋」というと武家の専売特許のように思われがちですが、必ずしもそうではありません。武士がまだ固定された階級として成立する前、百姓や町人にも同様のしるしや名乗りがあった可能性は否定できません。
■ 武士の起源は百姓にあった?
武士の起源をさかのぼると、平安時代に藤氏の失敗によって国の軍事体制が崩れ、各地の住民が自衛のために武装するようになったことが発端とされています。
この「すべての国民が武装せざるを得なかった」状況から、武士という存在が生まれていったのです。
彼らは自らの村や地域を守るために立ち上がり、賊を退け、時に他所の村と争うこともありました。
こうして自然発生的に生まれた武士たちは、必ずしも「士族」のような特権階級ではなく、もともとは農民であり、地方の百姓でした。
■ 名乗りと称号のなごり
百姓が「衛門(えもん)」や「右兵衛(えいへい)」といった名乗りを用いたのは、武士文化が農民層にも浸透していた証拠とも考えられます。
これらの称号は、彼らが単なる耕作民ではなく、「地域の守り手」であったことを示しているのです。
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