家系図づくりや先祖調査を行う中で、忘れがちだけれど重要なのが、自分の家とゆかりのある「寺院(菩提寺)」の歴史や背景を知ることです。
今回は、家系調査における寺院の位置づけと、どんなポイントを調べておくとよいかをご紹介します。
■意外と知られていない、寺の“由緒”のこと
地方の寺院では、現在の住職自身が寺の詳しい歴史(由緒)を把握していないことも少なくありません。
また、「寺院縁起(じいんえんぎ)」に書かれている内容は、格式を高めるための装飾的な表現が多く、実際の創建時期や宗派の変遷など、客観的な情報を得るのが難しい場合もあります。
そのため、必要以上に深く入り込む必要はありませんが、以下の点については確認しておくことをおすすめします:
・歴代住職の名前と在任時期(系譜)
・その住職たちはどの時代の人物か
・寺は創建当初から現在の宗派に属していたかどうか
■自分の家と寺の関係はいつ始まったのか?
もうひとつ大切なのは、自分の家がその寺といつ頃から関係を持ち始めたかという点です。
先祖が檀家(だんか)になった時期や、墓地の使用開始、過去帳への記載が始まった時代などが手がかりになります。
もし、現在の寺よりも古く関係していた寺が別に見つかれば、そちらの寺も訪ねてみる価値があります。
■寺の調査には「最低1日」の余裕を
寺院を訪ねる調査は、思っているより時間がかかります。
帳面の解読、住職とのやりとり、過去帳や石碑の確認、周辺墓地の調査などを含めると、最低でも一日以上の調査時間を確保する必要があります。
特に、遠方の寺に出向く場合には、事前に連絡して都合を確認しておくとスムーズです。
■まとめ:菩提寺は“家系のもう一つの柱”
家系図づくりでは「家」の記録に目が向きがちですが、それを陰で支えているのが菩提寺との関係です。
寺の歴史、住職の系譜、檀家としてのつながりを知ることで、家系の流れはより立体的に浮かび上がってきます。
過去帳を見せてもらうだけでなく、「この寺と自分の家はどうつながってきたのか」という視点で調査を進めてみてください。
あなたの家系図に、より深い意味と物語が加わるはずです。
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