家系図でみえてくるもの

なぜ多くの家系図は源氏や藤原氏につながっているのか?
家系図を眺めていると、不思議なことに気づきませんか?
多くの家が、源氏・平家・藤原氏・橘氏のいずれかに行き着くのです。

この4つの名家は、歴史の中で大いに活躍し、繁栄したため「四大姓(しだいせい)」と呼ばれます。
しかし、現代に伝わる系図の中には、実はもともと別の系統――たとえば古代豪族の家――が紛れ込んでいることが、研究によってわかっています。

こうした「系図の意図的な書き換え」を専門用語で 仮冒(かぼう) といいます。
歴史家が古い系図をそのまま信じない理由のひとつは、この仮冒があまりにも多いからです。

理由はシンプルで、家系図は「他人に誇れるもの」でなければ価値がないと考えられていたからです。
もし「〇〇古代豪族の子孫」と書いても、すでに忘れ去られた家名では響きません。
それよりも、誰もが憧れる 第56代・清和天皇(850〜881) の血を引く「清和源氏の末裔」と書いたほうが、断然格が上がります。

もちろん、正真正銘の清和源氏の子孫も存在します。
ですが、実際には仮冒によって「清和源氏」と名乗った家も多くあり、あの織田信長や徳川家康も仮冒を行ったといわれています。

歴史の表と裏を知ると、家系図の見方も少し変わってきますね。