江戸時代の日本には、今でいう戸籍や住民台帳のような役割を果たしていた帳面がありました。それが「宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)」です。
この帳面は、村ごとに作成され、領主に提出された戸口の基礎台帳で、国史大辞典では「宗門改めと人別改めを複合したもの」と定義されています。つまり、「宗門人別改帳」とは、もともと別々だった2つの台帳が合体してできたものです。
2つの帳面が1つに宗門人別改帳は、次の2つの帳面を統合したものでした。
宗門改帳(しゅうもんあらためちょう):
主にキリシタン(キリスト教徒)を摘発するために作られた帳面です。江戸幕府はキリスト教を厳しく禁止しており、宗門改帳にはどの寺に所属しているか(寺請制度)などの情報が記録されていました。
人別帳(にんべつちょう):
こちらは税負担や労働力の把握を目的としており、家族構成や年齢、職業などが記されていました。
この2つを合わせた帳面が、「宗門人別改帳」です。江戸時代前期の寛文年間(1660年代)ごろから広く使われるようになったといわれています。
宗門人別改帳は、現代の戸籍のように全国で統一された書式があったわけではありません。帳面の内容や形式は、以下のようにバラつきがありました。
・作成する人(村人、町人、武家など)
・管轄する領主(幕府、藩など)
・地域による慣習や目的
・時代ごとの運用方針の違い
このため、同じ「宗門人別改帳」と呼ばれる帳面でも、その内容や意図は時代や地域によって異なっているのです。
宗門人別改帳は、戸籍や租税台帳としての役割を果たしつつ、江戸時代の人々の暮らしぶりを知るための貴重な史料でもあります。
家族構成や住居、職業、寺院との関係などが記録されており、家系調査や地域史研究において重要な手がかりとなります。
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